ベロ毒素と大腸菌O111

ゴールデンウイークも終わり、新たな週が始まっておりますが、
最近では、亡くなった方も出たことにより、某焼肉屋による大腸菌感染症が大きな話題となっておりますね。
自分も先日、かなり久しぶりに焼肉屋を訪れましたが、メニューからユッケの文字が消えておりました…(涙)


さて、この大腸菌ですが、今話題となっているのはO111という種類。
大腸菌というものは多くの種類は無害なのですが、そのなかのいくつかは感染すると問題になるものがあります。
そのなかでも有名なものに、O157に代表される「腸管出血性大腸菌」という種類があり、O111もこれに属します。
(O157による集団感染は15年前くらいに世間で大きなニュースになっていたことを覚えています)
この種類は感染後、大腸菌自体が「ベロ毒素」という強い毒を腸管内で作って悪さをします。
この毒素は、細胞がたんぱく質を作るのを止めてしまう働きがあり、
たんぱく質を作れないと、腸管の表面の上皮細胞がどんどんと死んでいってしまい、
細い血管網がたくさん通っているようなところまで腸管壁が障害されると、やがて腸管から大量の出血が起こります。

また、このとき、この毒素が血液から吸収され、腎臓にたどりついた場合、腎臓中の細い血管壁を障害することで、腎不全を引き起こします。
細い血管内には血栓ができ、そこを通る赤血球が破壊され貧血を起こし、また血小板の数も少なくなっていきます。
(これらの症状をあわせて溶血性尿毒症症候群(HUS)と呼びます。)

また、毒素が脳にまで及ぶと、痙攣や意識障害などを伴う脳症を起こすこともあります。

症状が重篤な場合、死に至る場合もあります。



感染した場合、潜伏期間は2〜9日程度と比較的長く、頻回の水様性の下痢の後、出血大腸炎になるとその1〜2日くらいして、血便や非常に激しい腹痛が出現します。
このうち10%前後くらいの方がHUSや脳症を合併することがあります。

これらは強い感染力を持っており、多くの細菌性食中毒では原因菌を100万個単位で摂取しないと発症しないのに対して、O157やO111などの腸管出血性大腸菌は100個程度摂取しただけて感染すると言われています。


主な原因は、牛肉の生食(ユッケやレバ刺しなど)や牛肉の加熱が不十分だった場合が多いようです。(その他のものから感染することもあります)
ただこの菌は熱に弱く、75℃で1分間加熱すれば死にますが、逆に低温には強く、冷蔵庫の中でも生き残るそうです。



ですので、予防法としては、基本的なことですが、
・十分に加熱して食べる
・手洗いなどを徹底する
・調理器具はしっかりと消毒する、といったことでしょうか。


基本的な治療としては、
・水分や電解質の補充
・ホスミシンなどの抗生剤と乳酸菌製剤などの整腸剤(殺菌的な抗生剤を使用すると、細菌が死ぬときに毒素を出す恐れがあるので、ホスミシンなど細菌の増殖を抑える比較的穏やかな抗生剤を使用する方がよいとの話もあります。一方、ニューキノロンなどの殺菌性のものを使用することもあるそうです。)
・細菌を早く体外に出した方がよいので、下痢止めなどの使用は好まれない場合が多いです。


以上、これからの季節、細菌も繁殖しやすくなる気候ですので、
みなさん、食中毒には十分気をつけましょうね。


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